天然ケーシング


羊腸の品質

羊腸の品質は、羊の種類や生態時の飼育環境、飼料、老幼別、疾患の有無などにより、同一品質の原料はないと同時に、加工の際の巧拙による損傷などによっても差異が出てきます。

1. 緬羊と山羊 羊腸は、緬羊腸(Sheep Casings)、山羊腸(Goat Casings)とに大別できます。
山羊小腸の方が、緬羊小腸より曲がりが強いです。

図4:緬羊腸と山羊腸

2. 鮮度 品質の優劣は、鮮度に拠ることはいうまでもありませんが、羊腸として最も優れているものは、薄くて丈夫であることであって、それには新鮮であることが不可欠です。鮮度は色、匂い、伸張力、塩漬けの良否などによって知ることが出来ます。
3. ケーシング本来の淡黄色、淡紅色、白色などの色でなく、黄味がやや強ければ、コキが不十分か、加工後相当の時日が経過した場合などが考えられます。もし淡紅色が鮮やかであったり、黄褐色を帯びているときは、好気性の好塩菌、青色または黒色の斑点があるときは、嫌気性の好塩菌の繁殖による場合が考えられます。
4. 匂い 特有の動物臭があります。酸性臭やアンモニア臭等の異臭があるものは、雑菌等による品質の劣化が考えられます。
5. 伸張力 ケーシングには特有の弾力性がありますが、軽く引っ張って切れる場合は品質の劣化が考えられます。
6. 異物

ケーシングそのものの品質という観点からは少しずれますが、 人の口に入るものとして注意を払うべき点として異物の問題が あります。衛生的な管理の下、異物の付着がないようにケーシ ングを扱う各工程において細心の注意を払う必要があります。
ただ、ケーシングの表面に存在する網目状に見える血管の痕跡 や豚腸で見られる whisker と呼ばれる血管の痕跡、また、ケー シングを生産する際に残存することのある腸の最外側の漿膜層 のごく一部などが、加熱・燻煙後にあたかも異物のように見え ることがあるので、外来異物と間違えられることもあります。
これらはケーシングに隣接する組織由来のもので、食しても人体に害を及ぼすことはありません。